企業ドメインと事業ドメインの違いをわかりやすく解説!
「企業ドメイン」と「事業ドメイン」という言葉は、経営学や中小企業診断士の勉強でよく出てきます。
でも、初めて聞くと「どっちも似たような意味じゃないの?」と混乱しやすい用語です。
この記事では、中学生にもわかるようにやさしく解説していきます。
1. ドメインとは?
「ドメイン」とは、企業や事業が活動する領域や範囲のことです。
単に「どんな商品を売るか」だけではなく、経営全体を方向づける重要な考え方を含んでいます。
ドメインには大きく3つの役割があります。
① 意思決定の焦点
「どの市場に参入する?」「どんな商品を作る?」といった意思決定の基準になります。
例: トヨタは「モビリティ(移動)」を焦点に置くことで、自動車だけでなく水素エネルギーや自動運転にも挑戦できる。
② 経営資源蓄積の指針
人材、技術、資金などのリソースを、どこに集中的に投資するかの方向性を示します。
例: 任天堂は「娯楽体験の提供」というドメインを持つからこそ、ゲーム機・ソフト・テーマパークに資源を集中できる。
③ 組織の一体感
社員が「自分たちは何のために働いているのか」を理解し、共通の目標を持てるようになります。
例: スターバックスは「人々にくつろぎの体験を届ける」というドメインを共有しているから、世界中の店舗で統一感ある雰囲気を実現できる。
2. 企業ドメインと事業ドメインの違い
企業ドメインとは
会社全体が「どんな範囲で事業を行うのか」を示すもの。
👉 会社全体の活動範囲の地図
事業ドメインとは
その中の一つひとつの事業が「誰に・何を・どうやって提供するのか」を示すもの。
👉 個別の事業の役割や立ち位置
図解:企業ドメインと事業ドメインの関係
┌──────────────────────┐ │ 企業ドメイン(会社全体の活動範囲) │ │ │ │ ┌──────────────┐ ┌──────────────┐ │ │ 事業ドメイン① │ │ 事業ドメイン② │ │ │(例:自動車販売事業) │ │(例:カーシェア事業) │ │ └──────────────┘ └──────────────┘ │ │ │ ┌──────────────┐ ┌──────────────┐ │ │ 事業ドメイン③ │ │ 事業ドメイン④ │ │ │(例:水素エネルギー事業)│ │(例:EV充電事業) │ │ └──────────────┘ └──────────────┘ └──────────────────────┘
3. 物理的定義と機能的定義
事業ドメインの定義の仕方には2つの方法があります。
① 物理的定義(モノ中心)
「どんな商品を作っているか?」で定義する方法。
- ソニー →「テレビやカメラを作る会社」
- ブリヂストン →「タイヤを作る会社」
👉 商品が変化すると対応できなくなるリスクがある。
② 機能的定義(コト中心)
「お客さんにどんな価値を提供しているか?」で定義する方法。
- ソニー →「映像や音楽の楽しみを届ける会社」
- ブリヂストン →「人とモノを安全に運ぶ手段を提供する会社」
👉 技術が進化しても、本質的な役割に基づいて事業を拡大できる。
4. エーベルの三次元枠組み
事業ドメインを考えるときに役立つのが、エーベルの三次元枠組みです。
これは事業を3つの観点から整理する方法です。
- 顧客層(Who) … 誰に?
- 顧客機能(What) … どんな価値を?
- 技術(How) … どのように?
図解:エーベルの三次元枠組み
顧客層(Who) ▲ │ │ 顧客機能(What) ◀──── 技術(How)
スターバックスを例にすると
- 顧客層(Who):働く人、学生、休憩したい人
- 顧客機能(What):くつろぎ・交流・カフェ体験
- 技術(How):コーヒー、店舗デザイン、接客
まとめ
- ドメイン=企業や事業の活動範囲であり、①意思決定の焦点、②経営資源蓄積の指針、③組織の一体感を生む
- 企業ドメイン=会社全体の活動範囲
- 事業ドメイン=個別の事業の役割
- 物理的定義=モノで定義、機能的定義=コトで定義
- エーベルの三次元枠組みで「誰に・何を・どうやって」を整理できる
👉 ポイントは、モノに縛られると変化に弱いが、コトで考えると柔軟に成長できるということです。
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